贈与税の基本をおさらいしましょう
日本では、贈与税として個人から贈与により財産を取得した場合に税金を支払わなくてはいけません。つまり、年間110万円を超える金銭などの財産を贈与された場合、税務署に申告・納税しなくてはいけません(暦年課税)。なお、相続にも似ていますが、相続はあくまで「人が亡くなった結果財産を受け取ること」であるのに対し、贈与は「生きているうちに財産を受け取ること」という決定的な違いがあります。
なお、贈与税は基礎控除額(110万円)を控除した金額に対し、所定の税率と控除額を適用して税額を計算します。さらに、税率には「一般税率」と「特例税率」の2種類があります。後者は「祖父母、父母から18歳以上への子・孫」に贈与する際に適用される税率で、前者はそれ以外のケースに適用される税率です。
また、原則として60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子または孫へ財産を贈与する際は、一度贈与税を納めずにおいて、生前に贈与された財産を贈与してくれた人が亡くなった際に一括して相続税として納付する制度も利用できます(相続時精算課税制度)。
贈与税が非課税になる8つのケース
このように、基本的には年間110万円超の財産を受け取った場合は、贈与税を支払わなくてはいけません。しかし、以下のいずれかに当てはまる場合であれば、贈与税は非課税になります。
- 生活費・教育費
 - 年間110万円以下の場合
 - 夫婦の場合
 - 相続時精算課税制度
 - 住宅取得等資金
 - 教育資金
 - 子どもの結婚や子育ての資金
 - 障害者に贈与する場合
 
実際は、それぞれに適用される要件が厳密に定められているため、ここでは「生活費・教育費」「年間110万円以下」の場合に絞って掘り下げます。
まず「生活費・教育費」ですが、扶養関係が成り立っている家族間でのやり取りであれば、原則として課税されません。これらは日常生活に欠かせない費用であるため、一定範囲であれば非課税になるという背景に基づいています。たとえば、子どもや孫が重い病気になり、治療費を援助するために金銭のやり取りをする場合は課税対象になりません。
ただし、この方法を使う場合、贈与された財産を趣味の買い物や投資など他の目的に使ったり、預金に充てたりした場合は対象にならないため注意してください。
また、前述したように、年間110万円までの贈与であれば贈与税はかかりませんが「孫の誕生日に毎年110万円をあげる」といったように、同時期に同額の贈与を行うのは好ましくありません。税務署が定期贈与と判断し、課税対象となる可能性が出てくるため、時期や金額にバリエーションを持たせるとともに、毎年「贈与契約書」を作成しましょう。
その他の形で贈与する場合も、厳密な条件が定められているため、事前に税理士にご相談ください。
