11月から12月に入ると、会社でも年末調整の準備に入るはずです。初めて年末調整の対応を行う社員の方は、事前に勉強しておいた方がスムーズに進むでしょう。最低限押さえていただきたい知識をまとめました。
所得税の仕組みと年末調整の関係
そもそも、年末調整は何のために行うのかご存知ですか?会社から給料をもらったり、個人事業主として自分でビジネスをやったりして売上を上げた場合、それらの収入には税金=所得税がかかります。
自分でビジネスをやっている場合は、1年間の収入を合計した上で経費を差し引き、納めるべき税額を決定するために確定申告を行う決まりです。
しかし、会社勤めの場合は、給料から税金があらかじめ天引き(源泉聴取)され、会社がまとめて国に支払っています。そのため、自分自身で確定申告をする必要は基本的にはありません。
ただし、会社が天引きしている税金は、あくまで概算額に過ぎないことに注意しましょう。
実際には、扶養親族がいたり、生命保険や地震保険の保険料を支払っていたりなど、会社が把握しきれない原因で控除が受けられる場合もあります。
控除が受けられる場合、結果として納めるべき税金は安くなるので、年末調整という形で税金の額を計算しなおすのです。
書類の書き方をおさらいしよう
会社で年末調整を行う場合、ほぼすべての従業員に書いてもらうのが、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」でしょう。
「まるふ」という通称で呼ばれる場合もありますが、これは、用紙の右上に「扶」という漢字を〇で囲んだマークがついているからです。
そこで、この「まるふ」について、記載のポイントを解説しましょう。一番上のブロックは全員記載するので、ここを中心に説明します。
所轄税務署長等:上には会社を管轄する税務署名を、下には記載する人が住んでいる市区町村名を記載します。会社を管轄する税務署名は、あらかじめ印刷して渡すと親切です。
会社の名前・住所:会社が本社で集中して給与計算を行っている場合は本社の住所を書きます。支社ごとに行っている場合は支社の住所を書きましょう。これも、印刷して渡すと親切です。
あなたの氏名:記載する人に自分の名前を書いてもらいましょう。
印鑑:朱肉を使う印鑑を押してもらいましょう。インク式のゴム印(シャチハタ)は、「本人が押した」という証明力が弱いため、避けてもらった方が無難です。
あなたの住所または居所:基本的には、住民票のある住所を書けば大丈夫です。しかし、住民票を移していない、単身赴任であるため住民票は別のところにある場合は、実際に住んでいる場所を住所として書いてもらいましょう。