「貯蓄から投資へ」とはいうものの
政府は「貯蓄から投資へ」というスローガンのもとに、NISA(少額投資非課税制度)の改正など、国民が投資をしやすくするためのさまざまな施策を講じています。また、証券会社など民間金融機関も単元未満株投資やポイント投資など、若年層かつ資金が少なくても取り組める運用方法の提供に取り組んでいます。このような取り組みが実を結び、少しずつではありますが、投資に取り組む人が増えているのも現状です。民間シンクタンク・日本総研が行った調査によれば、株式・投資信託などの投資商品の保有経験がある30代の割合は、2016年には24%だったのに対し、2023年には41%にまで増えました。[1]
このようなニュースを知り「よし、自分も投資をやってみよう」と思った方もいらっしゃるかもしれません。そのためには証券口座を開設する必要がありますが、実はどの口座を開設するかで税金の扱いはまったく異なる点に注意が必要です。
特定口座・一般口座・NISA口座の違いを知ろう
前提として、株式や投資信託などの投資商品の運用・売却により利益が得られた場合、税金を払わなくてはいけません。しかし、NISA口座を通じて取引をした場合、一定の条件を満たせば運用益・売却益にかかる税金を非課税にすることが可能です。
これを踏まえて、税金の扱いという観点から証券口座を分類すると、特定口座・一般口座・NISA口座の3つに分類できます。特定口座と一般口座は、1)年間取引報告書、2)非上場株式や先物取引、オプション取引、FX取引の扱いという点で異なります。特定口座を通じた取引であれば証券会社が年間取引報告書を作成してくれますが、一般口座の場合は作成してもらえないため自分で計算しなくてはいけません。
また、特定口座は上場株式や投資信託など一定の投資商品の売買にしか使えませんが、一般口座は上場株式や先物取引、オプション取引、FX取引など幅広い商品の場合倍ができます。さらに、「源泉徴収あり」の特定口座を選べば、確定申告を省略することが可能です。ただし、取引によって損失が出て、繰越控除を行いたい場合は確定申告が必要になります。なお、一般口座と特定口座は併用できるうえに、開設する数にも制限はありません。複数の証券会社で開設することも可能です。
一方、NISA口座はすべての金融機関を通じ1人につき1口座しか持てないという制限があります。非課税枠が法律により定められている以上、複数開設するのは趣旨になじまないためです。これらの違いを理解し、自分にあった口座でまずは投資を始めてみましょう。