「ありがとう」の意味であげるのはいいのですが……
社員として長年勤めてくれている、目覚ましい成績を出した、などの理由で、社員に商品券を贈呈する企業は多いでしょう。
「ありがとう」の気持ちを伝える、という大事な意義がありますが、正しい経理処理はできているでしょうか?
実は、「何を」「どういう目的で」贈呈するかにとって、経理処理が全く異なるのです。
正しい経理処理を行って、気持ちよく受け取ってもらえるようにしましょう。
ケース1.永年勤続者に旅行ギフト券を贈呈する場合
長年勤務してくれている社員に対する表彰が目的の場合、どんな商品券を贈呈するかによって、扱いが異なります。
まず、商品券が「旅行会社で使える旅行ギフト券」だった場合、実態は「旅行をプレゼントすること」に近いです。
そのため、以下に挙げる条件に当てはまれば、贈呈した旅行ギフト券の相当額を福利厚生費として経理処理できます。
1)旅行の実施時期
旅行ギフト券を受け取ってから概ね1年以内
2)事務処理上の注意
宿泊したホテルの領収書など、旅行に行った事実が確認できる書類が揃っていること。
旅行ギフト券も金券の一種である以上、金券ショップなどに持ち込めば、現金化が容易にできてしまいます。
そのため、福利厚生費として処理するためには、金銭性を弱くすること、つまり、「その旅行ギフト券を使って実際に旅行に行った」という事実をそろえるのが大事です。
参照 http://www.soumu.go.jp/main_content/000466342.pdf
ケース2,表彰、永年勤続への感謝として全国共通商品券を贈呈する場合
一方、優秀な業績を修めた社員への表彰や、永年勤続への感謝が目的で、全国共通商品券を贈呈する場合は、事情がやや異なります。
ここでいう全国共通商品券とは、「デパートで使える全国百貨店共通商品券」「クレジットカード会社が発行するギフトカード」等を想定してください。
これらの全国共通商品券は、「受け取った側は、商品を自分で自由に選んで購入できる」ため、会社から金銭を交付したのと実態は変わりません。
そのため、金額および理由の如何を問わず、社員に対する給与として経理処理する必要があります。
複利厚生費として処理してしまいがちな項目でもあるので、気を付けましょう。
なお、「創業〇周年」などの区切りに、社員に対して記念品等を配布することもあるはずです。
その際、記念品として全国共通商品券を配布した場合も、給与として課税されるので、注意してください。