新型コロナはテレワーク導入の追い風になるか
業種や企業の風土にもよりますが、日本は諸外国に比べると比較的「出社して顔を突き合わせて仕事をすること」に重きが置かれている文化です。そのため、今までテレワーク(在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務など)の導入はあまり進んできませんでした。総務省の平成29年通信利用動向調査によると、日本企業におけるテレワークの導入率は13.9%でした。
そのうち、在宅勤務の導入率は29.9%、モバイルワークの導入率は56.4%、サテライトオフィスの導入率は12.1%と、モバイルワーク以外のテレワークを導入している会社は、ごくわずかだったのです。
参照:総務省|平成30年版 情報通信白書|広がるテレワーク利用
しかし、2020年に入り、日本を含めた全世界で新型コロナウイルス感染症が流行したことから、従業員の感染防止の名目で、在宅勤務を中心にしたテレワークの導入に踏み切る企業が出てきました。
それでも、実際にテレワークを実施した会社は、全体の3割にも満たなかったのです。
出典:緊急事態宣言の発令後、テレワーク実施27% 民間調査、「通常出勤」53% :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO58375660S0A420C2TJ1000/
中小企業強化税制が改正され、テレワークの導入にも活用可能に
テレワークを導入しない理由として
顧客情報を扱うなど、機密保持が求められるのでテレワークへの移行が難しい
社内に導入に対応できる人材がいない
テレワークの導入は検討しているが、予算の面で折り合いがつかない
そもそも、販売、サービス業など「テレワーク」という概念が存在しない業種である
などが考えられます。最後のケースの場合は、さすがに導入のしようがありません。しかし、他の3つのケースのように、セキュリティ、人材、予算の面で折り合いがつく見込みがあるなら、テレワークを導入し、従業員や取引先の感染拡大防止に努めるのも、企業が果たすべき社会的責任の1つでしょう。
そこで活用してほしいのが、中小企業強化税制です。これは、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を取得や製作等した場合に、即時償却又は取得価額の10%の税額控除(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)が選択適用できる制度ですが、従来から対象となっていた生産性向上設備(A類型)、収益力強化設備(B類型)に加え、デジタル化設備(C類型)も対象となりました。つまり、テレワークの導入のために必要なシステムの整備を行うと、即時償却または取得価格の10%(または7%)の税額控除が受けられるということです。
実際にテレワークを導入し、中小企業強化税制の適用を受けるには、システム会社や税理士と連携し、自社に合った形で進めていく必要があります。「うちもテレワークを導入しよう」と思ったら、まずは相談してみましょう。
参照:中小企業庁:テレワーク等を促進するために中小企業経営強化税制が拡充されました
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2020/200501kyoka.html