生活用物品の処分かどうかがカギ
新型コロナウイルス感染症が流行したことで、在宅している時間をどうやって過ごすかが話題となりました。家にいる時間が必然的に長くなる以上、片付けに取り組み「自分ではもう使わないけど、捨てるのは忍びない」ものを、フリマアプリで売ってみた人もいたはずです。
そして、沢山売ればそれなりに売上が入るので「もしかしたら税金を払わなくてはいけないのでは?」と気になった人もいたでしょう。
所得税法では、譲渡所得の対象とならない資産について規定がなされています。
生活用動産の譲渡による所得もその1つです。生活用動産とは「家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産」と規定されています。
参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3105.htm
つまり、フリマアプリでよく取引されている
- 子どもが小さいときに使ったおもちゃ
- 着なくなったけど状態のいい服
- 使わなくなったけどまだ座れそうなソファ
など「これまでの生活で使っていたものを処分する取引」によって得た収益は、所得税の課税されない譲渡所得にあたるため、確定申告をする必要もないのです。
判断に迷う場合は税理士に相談を
しかし、家の中にあるのは生活用動産だけではありません。
今では手に入らないような昔のレコードや、芸能人のファンクラブ限定品など「今の自分にとっては不要だし、生活に必要ではないけど、欲しい人にとってはお金を払ってでも欲しいもの」も存在します。
また、現状は厳しいかもしれませんが、海外で衝動買いしたブランド品を、「自分は使わないけど、状態がいいから」と売ってしまうことだってあるはずです。
このような「生活に通常必要でない動産の譲渡」をフリマアプリを通じて行った場合は、所得税が課税されます。
本来、所得税は所得(=売上ー費用)に対して課税されますが、この金額が年間38万円超(会社勤めをして給料をもらっているなら20万円超)なら、確定申告をして納税しなくてはいけません。フリマアプリの場合、売上の合計から購入者への送料などの経費を差し引いた金額を目安として考えるといいでしょう。
なお、国税庁の調査によれば2019年7月から2020年6月末までの1年間で、フリマ等の通販サイトで起きた所得の申告漏れ額は6億3,030万円 、追徴税額は7,797万円にものぼりました。
参考:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2102/19/news045.html
本来は非課税であるものを課税であると誤解するならともかく、逆のパターンはかなり厄介です。判断に迷う場合は、自分だけで考えず、税理士に相談して、対応を仰ぎましょう。