先進国でも各段に年収が低い日本
日本は、世界でもトップクラスの先進国です。しかし、最近は勢いに陰りが出ていると言われています。そのことが表れている指標の1つが、平均年収です。OECD(経済協力開発機構)がまとめた世界各国の平均賃金の統計によれば、日本の平均月収は38,515ドルとのことでした。国税庁が発表している「令和2年分民間給与実態統計調査」 によれば、平均給与が433万円だったので、そう変わりがありません。
問題はここからです。実はこの年収は、先進国の中でも各段に低いと言われています。アメリカの平均月収が69,392ドルとずば抜けているのは何となくわかるでしょう。しかし、日本よりも月収が低いイメージがかつてはあった韓国の平均月収は41,515ドルに達しています。今後、平均月収がどうなっていくのかは誰にもわかりませんが、日本がこのまま平均月収・年収の低い国になっていく可能性もゼロではありません。
賃上げ促進税制とは
もちろん、日本政府もこの事実を黙って見過ごしているわけではありません。あの手この手で賃金を上げようと努力はしています。その一環として設けられたのが「賃上げ促進税制」です。簡単に言うと、青色申告書を提出する全企業(大企業・中小企業・個人事業主)に対し、一定の条件を満たすと最大で40%の税額控除が受けられます。中小企業の場合の条件をみてみましょう。
まず、雇用者全体の給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加した場合は、15%の税額控除が受けられます。さらに、2.5%以上増加した場合は、税額控除の率が30%にまで上がります。これらの条件を満たしたうえで、教育訓練費が前年度比で10%以上増加した場合は、さらに10%の税額控除が受けられるのです。
なお、これらの賃上げ促進税制は、青色申告書を提出する中小企業・個人事業主であれば利用できます。適用期間は令和4(2022)年4月1日から令和6(2024)年3月31日までの間に開始する各事業年度です。個人事業主の場合は、令和5(2023)年および令和6(2024)年の各年が対象となります。
条件に沿って賃上げをし、従業員に対する教育を行うことで税制情の優遇が受けられるWin-Winの施策なので、税理士とも連携し、早めに準備を進めると良いでしょう。