会社を辞めてフリーランスになった場合の税務上の扱いは?
新型コロナウイルス感染症の流行も3年目に突入しました。初期のような強力な行動制限はなくなってきているものの、まだまだ注意して暮らすに越したことはありません。その中で、生活に変化があった人も決して少なくはないでしょう。
ここでは「コロナで生活が変わった人」の例として、1)会社を辞めてフリーランスになった、2)新型コロナウイルス感染症に罹患し保険金を受け取った人の2パターンについて、税務上の扱いを確認します。
まず、会社を辞めてフリーランスになった人の場合、確定申告をどうするのかが問題になります。仮に、6月30日まで会社勤めをし、7月1日からはフリーランスとして仕事を始めた場合を考えてみましょう。
6月末までは給与所得を、7月以降は事業所得を得ていたことになるため、確定申告の際はこの2つを合算して所得税を計算しなくてはいけません。また、給与から源泉所得税が天引きされていれば、事業所得と合わせて計算した所得税から控除することが可能です。
たとえば、6月末までの給与から、源泉所得税が10万円差し引かれていたとしましょう。すべての所得を合算して計算した年間の所得税が20万円だった場合、確定申告の段階で納めるべき所得税は10万円となります。
なお、このパターンの場合、確定申告にあたっては源泉徴収票が必須です。紛失してしまった場合は、元勤務先に問い合わせて送ってもらいましょう。
新型コロナウイルス感染症に罹患し保険金を受け取った場合の税務上の扱いは?
新型コロナウイルス感染症に罹患し、加入している生命保険や医療保険から保険金や給付金を受け取った場合の税務上の扱いについても確認しておきましょう。結論からいうと、非課税所得となるため、税金はかかりません。「心身に加えられた損害または突発的な事故により資産に加えられた損害に基づいて取得する保険金、損害賠償金、慰謝料」として扱われるためです。
ただし、保険金や給付金の受取人が亡くなってしまい、相続人が代わりに受け取った場合は、相続税の対象になります。
また、医療費控除の計算方法についてもチェックしておきましょう。新型コロナウイルス感染症への罹患に伴いかかった医療費も、医療費控除の対象です。ただし、医療費控除の対象にできる医療費は「治療や療養のために自己負担した金額のみ」であるため、保険金や給付金を受け取った場合は、差し引かなくてはいけません。
ここで注意したいのが「補てんされる金額を差し引くのは、あくまでも給付の原因となった治療・療養のみ」というルールです。
分かりづらいので、例を用いて説明します。
【例】
新型コロナウイルス感染症でかかった医療費(抗原検査キットや解熱剤の代金も含む):3,000円
受け取った給付金:5万円
その他の医療費:15万円(※これらに伴い、保険金・給付金は受け取っていない)
この場合、新型コロナウイルス感染症にかかる医療費は0円になり、医療費控除にあたって自己負担した医療費の合計は15万円として扱われる仕組みです。
ここで紹介した税務上の扱いは、知ってしまえばさほど難しいものではありません。しかし、自分ではなかなか判断しづらいと感じた場合は、税理士などの専門家に確認しておくと安全です。